供述調書とは

供述調書とは、警察官や検察官などの捜査機関が、事件の関係者から聴取した内容をまとめた書面です。被疑者(犯罪の疑いをかけられている人)だけでなく、被害者や目撃者、参考人など、事件に関わるさまざまな人の話が記録されます。

この調書は、捜査の過程で作成され、裁判になった際には重要な証拠の一つとして扱われることがあります。話した内容が、供述者の発言そのままではなく、捜査官が文章としてまとめたものに、供述者が署名・押印することで完成します。

知っておくべき理由

供述調書について知っておかないと、思わぬ不利益を被る可能性があります。例えば、あなたが何らかの事件に巻き込まれ、警察から事情を聴かれることになったとします。その際、供述調書の内容をよく確認せずに署名・押印してしまうと、後で「言っていないことが書かれている」「自分の真意と違う形で記録されている」といった問題が生じることがあります。

具体的には、

  • 自分の発言が誤解されて記録される:焦りや緊張から、捜査官の質問の意図を正確に理解できなかったり、自分の説明が不十分だったりすることがあります。その結果、調書に記録された内容が、あなたの本当の意図とは異なるものになる可能性があります。
  • 不利な証拠として扱われる:一度署名・押印した供述調書は、裁判であなたの発言として扱われます。もし、事実と異なる内容や、あなたにとって不利な内容が記録されていれば、それが裁判で不利な証拠として用いられ、結果として不当な判決につながる可能性も否定できません。
  • 後から内容を覆すのが困難になる:一度作成された供述調書の内容を、後から「あれは間違っていた」と覆すことは、非常に困難です。特に、署名・押印をしてしまっている場合、その供述があなたの意思によるものだと判断されやすくなります。

このように、供述調書はあなたの言葉が記録される重要な書類であるため、その内容を十分に理解し、慎重に対応することが求められます。

具体的な場面と事例

例えば、あなたが交通事故の目撃者として警察から事情聴取を受ける場面を考えてみましょう。

警察官から事故の状況について質問され、あなたは覚えている範囲で説明しました。その際、警察官があなたの話を聞きながらパソコンに入力し、最後に「これでよろしいですか?」と尋ねられ、画面に表示された文章に署名・押印を求められます。

この時、もしあなたが疲れていたり、早く帰りたいという気持ちから、内容をよく確認せずに署名・押印してしまったとします。後日、裁判でその供述調書が証拠として提出され、あなたが話したはずのない「加害車両が一時停止を無視した」という記述があったとします。実際には、加害車両が一時停止したかどうかはっきり覚えていなかったにもかかわらず、調書には断定的な表現で書かれていたのです。

この場合、あなたは「自分はそんなことは言っていない」と主張しても、署名・押印済みの供述調書があるため、その主張が信じてもらえない可能性があります。結果として、あなたの供述が、事故の過失割合や損害賠償額に影響を与えることになりかねません。

また、あなたが何らかのトラブルで被疑者として取り調べを受けることになった場合、供述調書の内容はあなたの刑事責任に直結します。例えば、あなたが「やっていない」と主張しているにもかかわらず、捜査官の誘導や誤解によって「やった」と解釈できるような内容が調書に記録され、それに署名・押印してしまえば、無実であるにもかかわらず有罪となる可能性も出てきます。

覚えておくポイント

  • 供述調書は必ず内容を隅々まで確認する:署名・押印を求められたら、書かれている内容が自分の話したことと一致しているか、誤解を招く表現がないか、一言一句確認しましょう。
  • 事実と異なる点や不明な点があれば修正を求める:もし事実と異なる点や、自分の真意と違う表現があれば、遠慮せずに修正を求めましょう。不明な点があれば、納得できるまで質問し、明確にしてもらいましょう。
  • 署名・押印を拒否することも可能:内容に納得できない場合は、署名・押印を拒否することができます。無理に署名・押印する必要はありません。
  • 弁護士に相談する権利があることを覚えておく:特に被疑者として取り調べを受ける場合、弁護士に相談する権利があります。不安な場合は、弁護士に立ち会ってもらうことも検討しましょう。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案に対する法的アドバイスではありません。個別のトラブルについては、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。