本人申立ての基本を知る

本人申立て」とは、裁判所や行政機関で行われる法的な手続きにおいて、弁護士などの専門家を代理人に立てずに、ご自身で直接手続きを進めることを指します。

例えば、離婚調停や相続放棄、自己破産などの手続きは、通常、裁判所に申し立てを行う必要があります。この際、多くの方は弁護士に依頼して手続きを代行してもらいますが、ご自身で書類作成から提出、裁判所とのやり取りまで全て行うのが本人申立てです。

本人申立ては、主に以下のようなケースで選択されることがあります。

  • 費用を抑えたい場合:弁護士費用がかからないため、経済的な負担を軽減できます。
  • 手続きの内容が比較的単純な場合:複雑な法律問題が絡まないケースでは、ご自身での対応も可能です。
  • ご自身で手続きを進めることに抵抗がない場合:時間や労力をかける覚悟があれば、本人申立てを選択できます。

ただし、本人申立ては、ご自身で法律や手続きに関する知識を習得し、正確な書類を作成・提出する責任が伴います。

知っておくべき理由

本人申立てという言葉やその意味を知らないと、思わぬ不利益を被る可能性があります。例えば、離婚や相続といった場面で、弁護士に依頼する費用がないからと、何もせずに放置してしまうケースが考えられます。

  • 離婚調停を諦めてしまう:相手方との話し合いがまとまらず、弁護士費用を払えないからと調停の申立てを諦めてしまうと、不利な条件で離婚せざるを得なくなったり、いつまでも離婚が成立しなかったりする可能性があります。
  • 相続放棄の期間を過ぎてしまう:亡くなった方に多額の借金があることを知っていても、「手続きが分からない」「弁護士に頼むお金がない」という理由で、**相続放棄の申述期間(原則として自己のために相続があったことを知った時から3ヶ月以内)**を過ぎてしまうと、借金も相続することになってしまいます。
  • 自己破産の手続きができない:借金の返済に困っていても、弁護士費用が払えないからと自己破産の手続きを躊躇していると、督促が続き精神的な負担が増大するだけでなく、財産が差し押さえられるなどの事態に発展する恐れがあります。

これらのケースでは、本人申立てという選択肢を知っていれば、ご自身で手続きを進め、問題を解決できる可能性があるのです。

具体的な場面と事例

本人申立てが選択される具体的な場面は多岐にわたります。

  • 離婚調停・審判
    • 夫婦間の話し合いで離婚条件がまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。弁護士に依頼せず、ご自身で申立書を作成し、調停期日に出席して話し合いを進めることができます。
  • 相続放棄
    • 亡くなった親に多額の借金があった場合など、相続したくない財産があるときに、家庭裁判所に相続放棄の申述を行います。必要書類を揃え、ご自身で申述書を作成して提出します。
  • 自己破産・個人再生
    • 借金の返済が困難になった場合、地方裁判所に自己破産個人再生の申立てを行います。裁判所への提出書類が多く、手続きも複雑なため、本人申立ては非常に労力がかかりますが、ご自身で進めることも可能です。
  • 遺産分割調停
    • 遺産の分け方について相続人同士で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
  • 少額訴訟
    • 60万円以下の金銭の支払いを求める場合、簡易裁判所に少額訴訟を提起できます。比較的簡易な手続きで、ご自身で訴状を作成し、裁判に臨むことができます。

これらの手続きでは、裁判所のウェブサイトで申立書のひな形が公開されている場合や、裁判所の窓口で手続きに関する案内を受けられる場合があります。

実践で役立つポイント

本人申立てを検討する際に、知っておくと役立つポイントをいくつかご紹介します。

  • 裁判所のウェブサイトを活用する
    • 各裁判所のウェブサイトには、申立書の書式例や手続きの流れ、必要書類に関する情報が掲載されています。まずはご自身が検討している手続きについて、裁判所のウェブサイトで情報を収集しましょう。
  • 裁判所の窓口で相談する
    • 裁判所には、手続き案内や申立書の書き方について教えてくれる窓口が設けられていることがあります。ただし、具体的な法律相談には応じてもらえないため、あくまで手続きに関する一般的な案内と理解しておきましょう。
  • 書籍やインターネットで情報収集する
    • 本人申立てに関する書籍や、信頼できる法律情報サイトで、手続きの詳細や注意点について学ぶことができます。
  • 司法書士や行政書士に相談する
    • 弁護士に依頼する費用が難しい場合でも、司法書士は裁判所に提出する書類の作成を、行政書士は行政機関への提出書類の作成を代行できる場合があります。費用も弁護士より抑えられるケースが多いです。ただし、法廷での代理人となることはできません。
  • 時間に余裕を持つ
    • 本人申立ては、ご自身で多くの作業を行うため、時間と労力がかかります。焦らず、十分な時間を確保して手続きを進めることが重要です。
  • 本人申立ては、弁護士を立てずにご自身で法的手続きを進めることです。
  • 費用を抑えたい場合や、手続きが比較的単純な場合に選択肢となります。
  • 裁判所のウェブサイトや窓口、専門家(司法書士、行政書士など)の活用が役立ちます。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案に対する法的アドバイスではありません。個別のトラブルについては、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。