検察審査会とは
検察審査会とは、国民の中から選ばれた検察審査員が、検察官が行った不起訴処分(事件を起訴しないと決めること)が適切であったかどうかを審査する制度です。これは、検察官の判断が妥当であったかを、一般市民の視点からチェックする役割を担っています。
検察審査会は、全国の地方裁判所と一部の支部内に設置されており、各検察審査会は11人の検察審査員と、その職務を補助する検察審査会事務局で構成されます。検察審査員は、選挙権を有する国民の中からくじ引きで選ばれ、任期は6ヶ月です。
審査の対象となるのは、犯罪被害者やその関係者などから「検察官の不起訴処分は不当である」という申し立てがあった事件です。検察審査会は、申し立てがあった事件について、関係者から話を聞いたり、証拠を調べたりして審査を行います。その結果、検察審査会が「不起訴処分は不当である」と判断した場合、検察官に再検討を求めることができます。
知っておくべき理由
もしあなたが犯罪の被害に遭い、警察が捜査を進めたにもかかわらず、検察官が「これは起訴するほどの事件ではない」として不起訴処分を下した場合、納得がいかないと感じるかもしれません。このような時、検察審査会の制度を知らないと、その判断を覆すための手段があることに気づかず、泣き寝入りしてしまう可能性があります。
例えば、夫から継続的に暴力を受けていた妻が、勇気を出して警察に被害を訴え、夫は逮捕されたとします。しかし、検察官が「証拠が不十分である」として夫を不起訴処分にした場合、妻は「このままでは夫が何の罰も受けずに済んでしまう」と絶望するかもしれません。この時、検察審査会に審査を申し立てるという選択肢を知らなければ、夫が再び暴力を振るうのではないかという不安を抱えながら、何もできないと感じてしまうでしょう。
また、知人が詐欺被害に遭い、加害者が不起訴処分になったとします。その知人が「納得がいかない」と話している時に、あなたが検察審査会の存在を教えてあげられれば、知人が正当な救済を求める手助けができるかもしれません。この制度を知らないことは、被害者が正当な権利を行使する機会を失うことにつながりかねないのです。
具体的な場面と事例
検察審査会に審査を申し立てることができる具体的な場面は、主に以下の通りです。
- 犯罪の被害者:自身が被害に遭った事件について、検察官が不起訴処分とした場合。
- 犯罪の告訴人・告発人:自身が告訴・告発した事件について、検察官が不起訴処分とした場合。
- 上記に該当しないが、犯罪事実を申告した者:例えば、家族が犯罪被害に遭い、本人が申し立てができない場合に、代わりに申告した人など。
事例:交通事故の加害者が不起訴になったケース
あなたは、飲酒運転の車に追突され、大怪我を負いました。警察の捜査により、相手の飲酒運転は明らかで、過失も大きいと判断されました。しかし、検察官は「相手が深く反省しており、示談交渉も進んでいるため」として、相手を不起訴処分としました。あなたは、飲酒運転という悪質な行為にもかかわらず、刑事罰が科されないことに納得がいきません。
このような場合、あなたは検察審査会に対し、この不起訴処分の妥当性を審査するよう申し立てることができます。検察審査会が審査の結果、「不起訴処分は不当である」と議決した場合、検察官は再度捜査を行い、起訴するかどうかの判断をやり直すことになります。もし、検察審査会が**「起訴すべき」という議決を2回行った場合(起訴議決)、裁判所が指定した弁護士が検察官の代わりに起訴を行い、裁判が開かれることになります。これを付審判制度**と呼びます。
- 検察審査会は、検察官の不起訴処分を市民が審査する制度です。
- 犯罪被害に遭い、検察官の不起訴処分に納得できない場合に、申し立てる権利があります。
- 審査の結果、「不起訴不当」や「起訴相当」の議決が出れば、検察官は再検討を行います。
- 2回の「起訴すべき」議決(起訴議決)が出ると、強制的に起訴されることがあります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案に対する法的アドバイスではありません。個別のトラブルについては、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。