消極損害とは? 将来得られたはずの利益を失う損害
消極損害とは
消極損害とは、不法行為や債務不履行などによって損害を受けた結果、本来であれば将来得られたはずの利益が得られなくなったことによる損害を指します。損害賠償で請求できる直接的な出費">積極損害が、実際に支出した費用や失われた財物など、既に発生した損害であるのに対し、消極損害は、将来にわたって発生するはずだった利益の喪失分を指す点で異なります。
具体的には、事故による怪我で仕事ができなくなり、その期間の給与が得られなくなった場合の逸失利益や、事業が中断したことで得られるはずだった営業利益の喪失などが消極損害にあたります。これらの損害は、事故やトラブルがなければ確実に得られたであろう利益を、加害行為によって失ってしまったという考え方に基づいています。
知っておくべき理由
消極損害という言葉を知らないと、適切な賠償を受けられない可能性があります。例えば、交通事故で怪我を負い、数ヶ月間仕事を休まざるを得なくなったとします。この時、治療費や入院費といった目に見える出費(積極損害)は請求できても、「仕事を休んだ期間の給料」が請求できる損害だと認識していなければ、その分の賠償を諦めてしまうかもしれません。
また、事業を営んでいる方が、取引先の契約違反によって本来得られるはずだった売上を失った場合でも、「契約違反があったから仕方ない」と諦めてしまうケースがあります。しかし、この「得られるはずだった売上」も消極損害として賠償請求の対象となる可能性があります。
このように、消極損害の概念を知らないと、本来受け取るべき賠償金の一部を見過ごし、経済的な不利益を被ってしまうリスクがあります。特に、大きな事故やトラブルに巻き込まれた場合、その影響は一時的な出費だけでなく、将来の収入にも及ぶことが多いため、この概念を理解しておくことは非常に重要です。
具体的な場面と事例
消極損害は、様々な場面で発生します。
交通事故による逸失利益
会社員Aさんが交通事故で重傷を負い、半年間仕事を休職しました。この場合、Aさんが休職期間中に得られなかった給与や賞与は、消極損害である逸失利益として加害者に請求できます。もし後遺症が残り、以前のように働けなくなった場合は、将来にわたって減ってしまう収入も逸失利益として請求の対象となります。医療過誤による逸失利益
手術ミスにより、ピアニストBさんが指に障害を負い、演奏活動ができなくなってしまいました。Bさんが将来にわたって得られるはずだった演奏収入やレッスン料は、消極損害としての逸失利益にあたります。契約違反による営業利益の喪失
C社がD社との間で、特定の部品を継続的に供給する契約を結んでいました。しかし、D社が契約に違反して部品の供給を突然停止したため、C社は製品の製造ができなくなり、本来得られるはずだった製品の売上を失いました。この失われた売上は、消極損害としての営業利益の喪失としてD社に請求できる可能性があります。知的財産権侵害による利益の喪失
Eさんが開発した独自の技術が、F社によって無断で使用され、F社はその技術を使った製品を販売して大きな利益を上げました。Eさんがその技術を自社で活用していれば得られたはずの利益や、本来F社から得られたであろうライセンス料などは、消極損害として請求できる可能性があります。
覚えておくポイント
- 消極損害は「将来得られたはずの利益」の喪失であると理解することが重要です。
- 交通事故や医療過誤では、休業損害や逸失利益として請求できる可能性があります。
- 契約違反や知的財産権侵害では、営業利益の喪失などが消極損害にあたります。
- 消極損害の算定は複雑な場合が多く、専門的な知識が必要となることがあります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案に対する法的アドバイスではありません。個別のトラブルについては、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。